乳がん手術後1カ月経った。
乳房を温存した場合に必須となる放射線治療は、
両側皮下乳腺全摘出した私にはもちろん必要なし。
まあ、それを避けるために全摘出にしたのだから、
当然といえば当然。
抗がん剤の使用も、私には必要なしとのこと。
私の場合、ステージ1、グレード1、エストロゲン、
プロゲステロン陽性、Her2陰性、微小浸潤ガン
つまり、早期の乳がん。
「顔つきのよい」と言われる穏やかながんだった
せいもある。
物凄くホッとした。
残るはホルモン治療。
乳がんにおけるホルモン治療とは、
微量のガンがリンパ節を通って
全身に行ってしまっている場合も考慮して
乳がん細胞のえさとなる「女性ホルモン」を
抑える治療のことである。
これはどうするか?
私の本音は「やりたくない」だ。
ホルモン治療期間は最低5年。
5年も女性ホルモンを抑えるということは、
治療の終わる頃、私は48歳。
もう子供はもちろん無理だし、
そのまま閉経ということもありうる。
治療中には更年期障害のような
副作用がでる可能性も。
ネットには気が重くなるような
その症状が記載されている。
抗がん剤をやらないだけでも、ラッキー!と
しないといけないかもしれない。
けれど、乳がんにならなかったら、あたりまえだが、
更年期障害や閉経のことなどを今から心配しなくても
済むはずだった…。
元うつ患者としては、
抑うつの症状がでる可能性がある
というのも気になる。
他にも、女性ホルモンがなくなることによる
体重増加、肌の張り・血管の柔軟性が失われ、
骨粗鬆症のリスク上昇…などなど。
あ~いやだ~~~~(泣)
女であることをすべて奪われる上、
不健康になっていくようなこと
ばかりじゃないか!
と怒りさえ覚える。
…とはいえ、浸潤がんも微小だが、
あったことも事実。
再発予防についても考えないと
いけないのである…
などと悶々としていたが、
思い切って主治医の先生に聞いてみた。
以下主治医の先生と私の会話。
私:「ホルモン治療ってやらないとだめなんですか?」
先生:「う~ん、やらないってこともできるけど、
再発のリスクがあるからね~」
私:「私の場合、やらなかったら生存率はどれくらいで、
やったらどれくらいになるんですか?」
先生:「やらなかったら85%、やったら95%くらいかな。
ざっくりだけど」
おお、85%の生存率!
なんだ、結構高いではないか!
などと思っていると、そんな表情を読まれたのか、
先生が続けた。
「でも、普通の人は100%と思っているからね。
再発率は患者20人中1人。再発するとやっぱり厳しいよ」
現状、乳がんは早期発見であれば、生存率は高いが、
再発すると治療法も限られ、生存率もぐっと下がるのだ。
病院帰り、私は考えていた。
でも10%しか変わらないんだよね?
しかも治療しても再発する場合もあるんでしょ?
とすると、生存率を10%上げるために
副作用を覚悟して受けるべきなんだろうか?
ちなみにホルモン治療を受けても、
必ずしも生理が早く止まるわけではないので、
閉経を恐れることはないらしい。
閉経前のホルモン治療で使用する薬は2種類。
脳下垂体に働きかけて、卵巣からホルモンを出させない薬と、
ホルモンは出ている状態だけど、そのホルモンを受ける
細胞の受容体をブロックして作用させない薬(抗ホルモン剤)。
私の場合はこの抗ホルモン剤、
タモキシフェンの服用となるらしい。
この薬の場合には、副作用もあまりないらしい。
でも、年齢やがんの状態などによって、
両方を投与の場合もあるようである。
今までも、それぞれの患者の状態、状況によって
乳がんの治療法・選択肢が違うということを目の当たりに
してきたが、ここでもやはり一律ではないのだ。
私の場合、今の主治医がいる病院とは
別のクリニックで手術はしてもらっている。
主治医の病院では同時再建手術、
乳房全摘と同時にインプラントを入れて、
乳房再建までする手術ができなかったからだ。
そのクリニックにも、その後の治療について
相談できる先生と専門チームがいるので、
そちらの話も聞いて、どちらで治療を受けるか、
または受けないことにするのか、決断することにした。
これからの治療のほうが長い付き合いになるだろうから、
やっぱり自分で納得した方法を選択したい。
リスクは残るにせよ、治療しないという選択もなくはないのだ。
でも、もし、これが、同じ10%でも生存率がもっと低かったら…
10%、いや1%でもあがるなら、なんでもするのかもしれない。
私はなんと贅沢な状態にあるのだろう。
しかも2つの医療施設から選ぼうなんて。
でも、だからこそ悔いのない決断をしたい。