それまで親に感謝なんてしていなかった。
親は小学校卒業と同時に離婚し、離れ離れ。
高校はバイトしながら、奨学金をもらい、それは大学卒業後自力で完済。
アメリカでの大学時代は父親からの授業料をもらっていたものの、
生活費は大学内でのバイトでなんとかなった。
甘え下手もあったから。親に助けてなんて言ったことがなかった。
弱いところを見せたこともほとんどなかった。 何をするにも
自分で決めて、事後報告。
うつになった時も、本当に苦しい時には連絡しなかった。
そんな状態だって言わなかった。 なんでも自分で解決してきた。
うちの親は心配するか、相談しても建設的なアドバイスを
くれないから、話すだけ無駄。心配されるだけ、つらいし。
親を軽んじていたのだろう。 親を恨んでいたこともあったと思う。
どうしてうちの親は他の親みたいじゃないんだろう。
他人の親子が羨ましかった。
だけど、乳がんになって、初めて頼った。
助けてと言って、泣いた。
母親は自分が体調があまりよくないのに、出てきてくれる。
私の世話をするために。
今回は1泊2日で退院。あとは自宅療養。 その分世話をしてもらうことが増える。
母親は二つ返事で受けてくれた。 悩んだけど、やってもらうことにした。
母親に甘えようと思った。 うんと甘えて、うんと恩を売ってもらおうと思った。
その分、感謝できると思ったから。
お母さんが今度大変な時は、私が駆け付けるから。
あの時は本当に大変だったのに、ありがとうね。
ってこれから死ぬまで思いたいから。
自分で我慢してなんでもやっていたり、遠慮してたら、
ありがとうが言えないってわかったから。
今、いつも母親に、ありがとうって言えることがなんだか嬉しい。